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取消訴訟の原告適格に関する判例(行政法#2)

行政法コラム

処分の取消しの訴え及び裁決の取消しの訴え(以下「取消訴訟」という。)は、当該処分又は裁決の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者(処分又は裁決の効果が期間の経過その他の理由によりなくなつた後においてもなお処分又は裁決の取消しによつて回復すべき法律上の利益を有する者を含む。)に限り、提起することができる。

これは行政事件訴訟法9条1項の規定です。

ここで定められた「当該処分又は裁決の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者」に取消訴訟を提起する資格が与えられます。

これを原告適格といいます。

今回はこの取消訴訟の原告適格について、押さえておくべき判例を整理します。

判例なんて無数にありますが、全てを覚える必要は全くないです。必要なものだけ覚えましょう!

原告適格が認められた判例

まず初めに、「法律上の利益」を有すると判断された判例を見ていきましょう。

おさえておいて頂きたいのは、以下6つの判例です。

①公衆浴場許可事件(最判昭37年1月19日)

②東京12チャンネル事件(最判昭43年12月24日)

③新潟空港訴訟(最判平1年2月17日)

④もんじゅ訴訟(最判平4年9月22日)

小田急線高架化訴訟(最大判平17年12月7日)

⑥長沼ナイキ訴訟(最判昭57年9月9日)

簡単に各訴訟の内容を見ていきます。赤字がキーワードです。

①公衆浴場許可事件(最判昭37年1月19日)

公衆浴場の営業許可処分の取消訴訟

②東京12チャンネル事件(最判昭43年12月24日)

テレビ放送局の開設に伴う免許拒否処分の取消訴訟

③新潟空港訴訟(最判平1年2月17)

新潟空港を発着する一部路線の事業免許に対してなされた取消訴訟

④もんじゅ訴訟(最判平4年9月22日)

原子炉設置許可処分の無効確認を求めた訴訟

⑤小田急線高架化訴訟(最大判平17年12月7日)

東京都が計画した小田急路線の高架化に関する認可の取消訴訟

⑥長沼ナイキ訴訟(最判昭57年9月9日)

自衛隊の合憲性が問われた

原告適格を部分的に認めた判例

①サテライト大阪事件(場外車券場事件)

①サテライト大阪事件(場外車券場事件)

施設周辺で医療施設等を開設する者は原告適格を有する。

一般人、医療施設等以外を営む者は原告適格を有しない。

原告適格が認められなかった判例

覚えておきたいのは以下の3つです。

①近鉄特急訴訟(最判平1年4月13日)

②伊場遺跡保存訴訟(最判平1年6月20日)

③風俗営業許可の取消訴訟(最判平10年12月17日)

ここでもキーワードを確認します。

特急料金の値上げ認可鉄道利用者が争った訴訟

②伊場遺跡保存訴訟(最判平1年6月20日)

史跡指定解除処分をその遺跡の研究者などが争った訴訟

③風俗営業許可の取消訴訟(最判平10年12月17日)

東京都公安委員会が行った、風営法に基づくパチンコ店への営業許可処分の取消訴訟

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